2013年8月3日土曜日

総額20億円に上る補助金事業「緊デジ」の結果にビックリ!


WIRED にて、 さようなら「電子書籍」として、総額20億円の緊デジ事業の震災委員を務めた、仲俣暁生さんの記事が掲載されております。

http://www.kindigi.jp/dlfiles/jpo20130603/kindigititlelist.pdf

↑このPDFを見て、私も「なんだこれは!」 って思いました。

>電子書籍という話題に少しでも興味がある方なら、もしかしたら今年の6月3日に公開された、「コンテンツ緊急電子化事業(通称:緊デジ)」によって電子化された書目のPDFファイルをご覧になったかもしれない。あれを見た方は、自分の目を疑ったのではないだろうか。わたしも思わず叫んでしまった。「なんだこれは!」と。

>書目選定の基本的な考え方> 以下の優先順位に則り、書目の選定を行う
1. 被災地域における知へのアクセスの向上
2. 被災地域における新規事業の創出や雇用の促進 
3. 電子書籍市場の活性化

>10億円もの国費を投入した、しかも「被災地支援」を名目とした事業の最終報告がこれでは、


>事業参加出版社数:463社>電子化された書籍の総数:64,833点(ファイル数としては80,893点) 
<内訳>コミックス:29,861点、コミックス以外:34,972点
<フォーマット別内訳>.book:15,206点  XMDF:5,695点  EPUB:43,932点
東北関連書籍:2,287点>東北三県の図書館への献本書籍:3,810タイトル、10,745冊


>予算を消化し、「6万点」という目標を達成したことは確かだが、数合わせのために無理が行われたことも一目瞭然である。例えば電子化された書目に占めるマンガ(コミックス)の比率が異様に高いこと(全体の46%)、現在の電子書籍の主流であるリフロー型が少ないこと(25%)、さらに東北関連書が極めて少ないこと(3.5%)などが直ちに見てとれる


>そもそもこの事業が「コンテンツ緊急電子化事業」と銘打たれたのは、震災復興の緊急度ゆえではなく、アマゾン、アップル、グーグルなどの外資系の電子書籍プラットフォームの襲来に「緊急に」対抗するためだった。


マンガ多すぎ!
被災地域における知へのアクセスの向上 を最優先に選定した書目??
既に電子化されていたものも、掲載されてますが・・・?
20億円 ÷ 64833書籍総数 = 1冊あたりの電子化コスト 約30848円!?



このリストに掲載されている、国家予算で電子化された コミック・一般書籍が、 被災地域・被災者の皆さんの生活や心が潤うように、無償に近いような超低価格で利用できるようになるといいのだけども。


それにしても、20億円!!  使い終わりました! の結果がこれって。。
製本・出版・流通・通信などのインフラが悪い国じゃないですよね、日本って。
20億円使った結果の報告リストが酷すぎる・・

本当に国費を使う必要あったのかい? と、
リスト掲載作品の出版社と作者に不信を抱いた今日この頃

マンガがダメってことじゃないですけどね、
マンガを固定レイアウトスキャンで電子化って、そんなに金かからん気がするし、
著者が亡くなって絶版で電子化難しいような小説の電子化や、青空文庫的なことに莫大な国費を使ってくれるものかと思ってので残念です。
国民から「電子化して欲しい本」アンケート集めて、その中から東北に関する本を最優先って出来なかったのかな。



http://www.kindigi.jp/info/20120525c/
以下、審査委員会委員からの選書に関する意見 (投稿日:2012.05.25)

電子化対象書籍の選定基準・定義の策定の際、委員より出された選書に関する意見を紹介します。
~審査委員会委員からの意見~
永江 朗 (早稲田大学 教授)
・被災地の人びとの役に立つと出版社が考えるもの(娯楽的なものも含めて)を優先してほしい。
・品切重版未定など印刷本では入手が難しくなっているものを優先してほしい。
・ロングセラーとなっているものを優先してほしい。
田村 俊作 (慶応大学メディアセンター長)
1.電子化対象図書について、出版社の方の判断を縛りたくはありません。電子書籍市場の創出については、未だ試行錯誤の部分が大きいと考えていますので、多様な試みがあって良いと思います。ただし、公費による補助であることは忘れないでください。
2.電子書籍の特徴は、一度作成・提供されてしまえば、いつでもダウンロード(販売・利用)が可能となることです。紙の本と異なり、短期間に売り切ってしまうことが高収益につながるとは限りません。販売・提供方法の工夫によっては、息長く利用される本の方が、安定的な収入源となることを良くお考えになり、対象図書を選んでください。
3.対象書籍についてもう少し具体的に言えば、例えば、ノンフィクション、教養書、専門書、学術書、実用書などの中に、息長く利用され、電子書籍に向いている本がある筈だと考えています。また、子ども向けの科学の本や知識の本などの中にも適した本があるはずだと考えています。
堀 渡 (元 国分寺市立本多図書館館長)
1.地震、津波、原子力発電等の災害とその復興のために、さまざまな広い視点から役に立つタイトル、また被災した人間と地域を励ますタイトル
震災関連本というと、東北/地震/津波/原発などが書名にはいったストレートなものを思い浮かべがちですが、勤務した東京近郊の市立図書館では、3.11直 後から、書庫の本を含め阪神淡路、チェルノブイリ、スリーマイルから食品汚染、太陽光発電、立川断層、心のケアの本まで、実に様々な蔵書が何ヶ月も動き続 けていました。私はTVや新聞を見ながら思いを巡らし、対話し、ネットで図書館の在庫を調べ請求する市民達のイメージが常に浮かんでいました。各出版社 は、もちろんそれぞれ得意なジャンルをお持ちでしょうが、被災問題のベタなタイトルばかりでなく、我が社のかつて作ったこの本はこんな寄与をするはず、と いう広い<被災関連本>を自信を持って出してきていただければ、と思います。
2.広く東北関連のコンテンツであること
この際、各社から東北関連のコンテンツはできるだけ出されたらいかがでしょうか。かつて描かれ、研究され、紙の出版物になっていた<多様な切り口の東北主 題>が、(もちろん各社の今も使える、電子出版で在庫を持ってもいいという判断フィルターを通した上でのことですが)、電子出版では少し突出して揃う、と いうようなことがあっていいのでは。出版界のする応援は、東北関連の出版物をエントリーすることです。
3.紙の出版物の形では入手や読書が困難になっているコンテンツが電子出版でよみがえること
この促進策がなければ今の段階では電子化できない、しかし紙の出版物としては定評があり、品切れが惜しまれている、記憶に残る出版物のあれこれが各出版社から復活してくれることを期待しています。
4.この事業をきっかけに、電子出版物に紙の出版物のようなバリエーションと多くのタイトルの状況がもたらされること
出版事業の大きな美徳は、(時代状況の中で傾向性や困難性はあるにせよ)多様性にあると思う。紙の出版物には手間暇かけてじっくり編集された、そして多様な コンテンツがある(あった)。この特性は、紙の出版事業が電子の出版事業に移行しても、ぜひ引き継がれてもらいたい、そうでないと読者は本を愛せないだろ う。今の段階では促進策の手を借りても、各出版社が得意分野でさまざまな本をエントリーされて、<多様な電子出版物>という状態を出現してもらいたい。電 子出版物が魅力的なラインナップとなることを期待しています。
田口 久美子 (ジュンク堂 池袋店)
1.まずこのプロジェクトは、国民の税金を使って実行される、ということを忘れてはいけない。
2.紙の書物がデジタルより優れているという信念を持ちながらも、情報のデジタル化への抗しがたい社会の流れにかんがみ、デジタルの良さがより生きる出品を優先させたい。という二点を念頭に置いて、
3.在庫僅少になっているもしくは品切れ本、等で、重版をするには現在の経済状況では困難、ただ、製作費が安価になりしかも以後の在庫負担がなければ、長期間の販売として経済的に見合う本、を対象にしてほしい。
3について付記すると、私どもは大型書店ですので、店頭での「品切れ本」への問い合わせが後を絶ちません、古本屋をご案内をしているのですが、このような機会にデジタルとして提供していただければ、読者にとっても出版社にとってもメリットのあることだと思います。
石橋 毅史 (フリーライター)
1.「22世紀に伝えたい我が社の1点」
「100年後の人類にどうしても伝えたい本」を各社が1冊だけ選べるとしたら、という条件で申請書目を決める。1点だけ選ぶのは大変ですが、それが2点であっても5点になっても、悩むのは同じだろうと思います。各出版社のポリシーが表れると思いますし、書店や図書館にとっても、仕入れや選書、フェアなどを考えるための資料となるかもしれません。また読者にとっても、眺めて楽しい一覧表となるのではないでしょうか。
2.「電子出版をテーマとした作品」
これまでに「出版のデジタル化」がどのように考えられてきたかがアーカイブ化されていることは重要であり、その対象となる書目のラインアップが一覧できれば貴重です。これも1と同様、書店や図書館にとっての参考資料にもなるでしょうし、読者にとっても興味深いと思います。
3.現時点で「これは紙より電子で売れる」と想定する1点
2012年時点で、従来の出版各社が「電子書籍で売れる1点」 と見たのはどんなタイトルであったか? これが一覧できることも記録として貴重です。あくまで実験であり、実際の結果の良し悪しはあまり関係ない。ただし 〝陳列〟だけで終わらせず、販売促進にも取り組むほうが実験の意義が高まるかもしれません。これもまた、書店などにとっては一つの参考資料になると思いま す。
3つの提案に共通する、私の考え方は以下です。
○「緊デジ」は、「未来へ遺す記録」と「実験」に重点を置くとよいのではないか。
○書店や図書館にとっても役立つ資料とすること、読者が見て楽しめる(買ってもらうことにこだわる必要はない)一覧表作りを目指すことを重視すると、より意義のあるラインアップになるのではないか。
 また、3つの提案はあくまで「例」に過ぎず、大事なことは「なぜそれをラインアップに入れたいか」という理由があることではないかと思います。これは主催者側への提案となりますが、申請にあたっては「理由」を書く欄があるとよいのではないか。
仲俣 暁生 (日本文藝家協会デジタル委員)
1.単発書目ではなく、双書・選書・文庫などシリーズ/レーベル単位での全点網羅。
2.紙の本でも入手可能な新刊よりも既刊書、ことに品切れや在庫僅少本を優先。
3.広義のノンフィクションを優先し、小説などフィクションは古典を中心に最小限に。